僕は2020年からデザイン専門学校の非常勤講師をさせていただいています。
はじめての講師業はコロナ禍ということもあり、険しい道のりでした。
講義の資料づくりはもちろん、zoomを使ったオンラインでの講義などたくさんの収穫と課題を得ることができました。
手探りで奔走した1年間でしたが、学生のスキルやフレッシュな思いなども間近に感じることができ、本当にたくさんの学びがありました。
こちらの記事は専門学校講師をした1年間で学んだことや経験を活かすための今後の展望を記していきます。
1:オンラインでの講義ノウハウを得ることができた
コロナの影響で、初めて立った教壇はオンライン上でした。幸い生徒はみんなデザインソフトが入ったPCを持っていたものの、オンライン上では細かいツールの使い方などを教えるのはとても困難……。
「それならばオンラインだからこそできることを!」と、デザインをする上での思考や教養を中心に講義を行いました。
ただ、初対面でいきなりオンラインでの講義。さまざまなリスクヘッジをとって望んだものの、生徒によってはネット環境が不安定だったり、自分以外は基本ミュートでの講義のため、生徒の反応を見ることができなかったり。それが故に質問や意見を言いにくい環境だったりと、かなりの逆境……。
これからオンラインで何かしらのセミナーをやる上でも、改善しなくちゃいけない課題はまだまだ山積みです。
2:実際の仕事を課題に! 学生と共同制作実績を獲得!
コロナも少し落ち着き、やっと対面での授業がスタート。やっぱりリアルで顔を合わせるのは良いなとしみじみ実感しました(笑)。
僕が1年間通して行った講義のテーマは「意義あるデザインを作ること」。
デザイン専門学校の課題はクライアントを仮定し広告を制作したりと、結果が目に見えないものが多いんです。デザインソフトのスキルアップが目的ならそれでも問題ないのですが、学生時代の自分はこういった課題に対してはどうしても意欲が湧かなかった経験があったため、できるだけ実際の仕事を課題として出すことを心がけました。
「いいデザインとは何か?」の答えはきっと個人差があると思いますが、「結果を出すことができるもの」であることは必ず判断基準として挙がると思います。
そこで、生徒自身の名刺やフライヤーをデザインし、印刷を発注まで行ったり、実際にクライアントと仕事をしてもらう課題をメインに出すことにしました。
そんな課題を通して、作った名刺を配った際の反響や、仕事をしたクライアントの声、その後の結果がきっとモチベーションに繋がり、今後役に立っていければと感じています。
3:斬新でフレッシュな学生の作品を通して新たな感性を獲得!
デザイナーとして十数年も仕事をしていると、考え方が固くなったり、ある程度デザインがパターン化してしまったりすることがあります。
それとは対照的に、学生が作る作品は本当に個性豊かでフレッシュ! 荒削りながらも斬新な発想や、トレンドに敏感だからこそのセンスある作品が多いと感じました。例えるならプロ野球と高校野球のような見方・楽しみ方の違いがあるように感じました。
そんな学生の若々しく斬新な作品たちは自分の凝り固まったデザイン思考をほぐしてくれる効能があると思います(笑)。デザイナーなら常に頭は柔らかくしておきたいよなぁ。
講師経験を活かすための、今後の展望
講師のお仕事は2021年現在も引き続きやらせていただいています。そして、この経験は間違いなく自身の今後に役立ってくと確信しています。まだまだ講師としてやり残していることもいっぱいあるので、引き続き自身のキャリアアップに努めていきたいと思います。
コロナ禍における時代の変化でデザインの需要は間違いなく高まっていると実感しています。しかしその需要の高まり方は、DTP業務の内製化やクラウドソーシング、デザイン業務のサブスクサービスといった、「本来のデザイナーの需要」とは近くも結び付きづらいものになっているとも感じています。
いい意味では本物が残り、デザインの敷居は低くなる。
悪い意味では、デザインの質が下がり、夢のない仕事になっていく。
そんな中、デザイナーとしてどう立ち振る舞い動いていくのか。課題は山のようにありますが、講師の経験を生かした新たな アクションが生まれてきそうだ!
そして教鞭を振るった学生たちに夢を与えられる業界であり続けるために、今後も自分の仕事に誇りを持ち、行動していきたいと思います。
デザイナー / クリエイティブディレクター
竹本 純