グラフィックデザイナーを志す方ならもちろん、会社や事業を立ち上げたいと思ったことのある方なら一度は考えるロゴマークのデザイン。
ロゴマークは、企業や事業のさまざまな媒体に活用される「会社の顔」ともいえるものです。
また、ロゴマークには企業や事業のサービスや想いを視覚的に伝達したり、認知度を向上させたり、ブランド力を向上させるといった効果を与えてくれます。
しかし、ロゴマークの意味や良いロゴマークの特徴、効果を知らないと、自己満足だけのデザインになってしまい、知らず知らずマイナスプロモーションになってしまうことも……。
こちらの記事では、ロゴマークの意味や効果を説明し、良いロゴマークをデザインするためのポイントを3つ開設していきます。
ロゴマークの意味・与える効果とは?
そもそもロゴマークとは、会社の象徴となる図形である「シンボルマーク」と、社名やブランド名にデザインを加えた「ロゴタイプ」をセットにしたものを「ロゴマーク」と呼びます。
またロゴマークには、会社の想いや事業を伝えたり、企業の存在を認知させたり、ブランド力を高めるという役割があります。
会社の事業を多くの方に認知してもらうもらうためにも、競合他社との差別化を図るためにも、ロゴマークは会社にとって必要不可欠なものだと僕は考えています。
それでは、そんな企業やブランドにとって大切なロゴマークを、より良くデザインするためのポイントを解説していきます。
ポイント1:コンセプト・サービス・ターゲットが伝わるデザインを心がけよう
企業や事業のサービスや想いを視覚的に伝達するためには、
・【コンセプト】どんな理念やビジョンを持っているか
・【サービス】具体的にどんな事業や商品を提供しているか
・【ターゲット】どんな方に向けて伝えたいか
これらをしっかりと整理する必要があります。
【コンセプト】どんな理念やビジョンを持っているか
例えば、Aのロゴは税理士事務所のロゴマークです。
税理士ということで、お金を扱う仕事ということで、赤色は使用せず、その反対色である青色をベースにデザインしています。また、代表者の「人とのご縁を大切にしたい」という想いを円(縁)が重なるイメージをシンボルマークとして採用しました。また、ロゴタイプの文字に「人」という文字が入るデザインとして形にしています。
BのロゴはIT関係の企業のロゴマークです。
「できるはずの『はず』を取りたい」、「『はず』を取ることで大樹のように長く反映するtree(ツリー)になる」という想いから「Haztree(ハズトリー)」と命名された社名です。その想いを視覚化するために、木をモチーフにしたシンボルマークを作成し、ロゴタイプの「Haz」には取り消し線が加えられています。
このように理念やビジョンを視覚化することにより、企業にとっては理念やビジョンを常に忘れることない「愛着のあるロゴマーク」になります。
【サービス】具体的にどんな事業や商品を提供しているか
Cは塗装会社、Dはフードトラック(キッチンカー)事業者の団体のロゴマークです。
Cはハケ、Dはキッチンカーといったように、提供するサービスや事業に関わる要素を加えることで、一目で「この企業は何を提供しているのか」を視覚的に伝えることができます。
【ターゲット】どんな方に向けて伝えたいか
ターゲットは、最終的なデザインの仕上げを左右する重要な要素です。
子ども向けの事業であれば可愛らしいデザインで、年配の方に向けた事業であれば古き良き由緒正しきデザインで、といったように、同じコンセプトで仕上げるロゴマークでも、デザインのあしらいを変えることで、よりターゲットに響くデザインに仕上げることができます。
ポイント2: 視認性の高いデザインを意識しよう!
一見素敵なデザインが仕上がったように感じても、そのロゴタイプの文字が読めなかったり、シンボルマークがなんなのか分からない状態になってしまっては本末転倒です。
その原因として、要素をたくさん詰め込みすぎたり、文字が個性的すぎて読めなかったり、色を多用しすぎてしまっているする場合が多く見られます。
そうならないためにも、色や要素、文字の崩し方などをバランスよく整えていく必要があります。
一方、色や要素が多くても綺麗に整っているロゴデザインもあります。
これは、各要素が喧嘩せず、綺麗にまとまっているデザインの例です。要素が多いロゴマークというのが悪いわけではありません。大切なのはそれらの要素を「どう美しくまとめ仕上げるのか」です。要素が多くなるロゴマークは、さまざまな点に注意を払い、形にしていく必要があります。
ポイント3: さまざまな展開を想定したデザインパターンを作ろう
ロゴマークは各媒体に活用できる汎用性がとても重要です。シンボルマークとロゴタイプの組み合わせ、横長のデザイン、正方形のデザイン、縦長のデザインといったように、さまざまな展開パターンを作ることで、ロゴマークの汎用性を高めることができます。
ロゴマークは活用されてこそ真価を発揮する。
ロゴマークは名刺やチラシ、看板、ホームページといったように、さまざまなシチュエーションで活用されていくものです。良いロゴデザインには、さまざまな媒体で使いやすい汎用性の高さはもちろん、クライアントに気に入って活用してもらえるデザイン性の高さ、そのロゴマークを見るユーザーの印象に残るか、認識ができるかどうかの視認性の高さが必要です。作り手としても、世にずっと残るロゴマークをデザインしたいものですね。
デザイナー / クリエイティブディレクター
竹本 純